今日のひと言
《芸術は錯覚》
例えば、ベートーヴェンの「運命」を聴いて、私たちは心を強く揺さぶられます。
けれども、実際にその瞬間に鳴っている音は、ただの「一音」にすぎません。
その一音一音が連続することで、まるで建築物のような壮大な構造を形づくり、私たちの心に迫ってくるのです。
人間の脳が、そのように音を意味あるものとして組み立て、物語や感情を感じ取っているのでしょう。
脳は時に「錯覚する」と言われます。
芸術とは、まさに“良い意味での錯覚”が生み出す力なのだと思います。
我が家のワンコも、静かな曲を弾いていると穏やかにしていますが、運動性の強い曲を練習していると、どこか落ち着かない様子になります。
音を聴いて気持ちが動くというのも、ある意味では錯覚なのかもしれません。
音楽は、美術や文学のように形としてそこに残るものではありません。
鳴った瞬間に消えていく、儚い芸術です。
だからこそ、私が今YouTubeに力を入れているのは、バイオリンの技術や考え方を皆さんと共有したいという思いに加えて、
「自分がバイオリンを弾いていた」という証を残したいという気持ちもあるのです。
演奏はすぐに過去となり、消えてしまいます。
しかし、映像として残せば、何度でも聴くことができます。
そしてそのたびに、その“錯覚”を新たな自分の状態で体験できるのです。
同じ演奏でも、ある日は悲しく聴こえ、
ある日は少し癒やされて聴こえる。
まるで映画や写真のように、その時々の自分を映し出してくれます。
そんな思いで、演奏動画を作っています。
年月を重ね、やがて歩くのもゆっくりになった将来の自分が、
「昔、バイオリンを弾いていたなあ」と思い出す日が来るのも、また面白いかもしれません。
もしよろしければ、YouTubeのチャンネル登録もお願いいたします。
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