学ぶこと 教えること 教わること
長くバイオリンを教えていると子供から大人までいろんなタイプの人に出逢います。
教えることは同時に学ぶこと。
楽器の習得は身体の機能全てを使います。
その昔、自分が高校生だった頃、ピアノを素晴らしく上手に弾く中学生の男の子がいました。その子は、ある日バイオリンを弾いてみたいということで、始めたのですが、、でもそれは大変なことでした。
その子は音程が全くワカラナイ、、取れなかったのです。
キーボード的感覚でピアノは弾けるのでしょうか、本当はピアノ弾くにも音程感覚が必要なはずですが、音程をデジタル化したようにその中学生は鍵盤を叩いてただけなのでしょうか?
楽器の習得は体の全機能を使います。
目、耳、足腰、手、もちろん頭脳も。
ボール投げを私は一つの楽器習得の基準にしてます。
いわゆるキャッチボール。
近くの公園では、週末になると公園で親子がキャッチボールしますね。
見てて微笑ましい光景ですが、、余談ですがワンコの散歩をしている私から見るとちょっと危険なキャッチボールです。
ちゃんとグローブで取ってくれたらいいのですが、時に失敗してボールがワンコの近くまで飛んできます。ハラハラします。
そういう時は、自分が拾って投げてやります。意外に私は今でもコントロールがいいので親子はびっくりします。
キャッチボールできない人間が音楽を?リズム大切です、、なんか違和感ありますね。
音楽の三要素って中学の音楽の授業で習いました。
(リズム・メロディ・ハーモニー)
決して教える時に縦笛を口に加えることをしない音楽の先生が言ってました。今でも名前まで覚えてます。夏の旅行代理店の音楽ツアーでウイーンやロンドンやパリに行ったことをいつも自慢にしてました。
多分あの先生はボール投げ出来ないんじゃないでしょうか。中学の音楽の先生になって、、そこから教育に目覚めてくれればいい先生になるだろうに、、あんな先生見たら人前で歌うことも嫌いになる生徒が増加するばかりです。大人になって人前で歌を歌うのは罰ゲームみたいな感じですよね。カラオケはするのにね。
音楽に関係する仕事をするようになって自分が演奏する時に大切にしていること、また幸せだなと思うのは、、
室内楽やソロでバイオリン弾いて、、
今日はARATAさんのバイオリン聴けてよかった。
そう言ってもらうことが嬉しいです。
オーケストラで皆と弾いて、、ものすごくよかったと言われても、まぁ自分も一員で参加してたけど、、ていう感じですかね。
一方で、教える時に大切にしている事は、、
今日はこの事がわかった、感じた、感動があった。
こう思ってくれることが一つでもあれば、そのレッスンは大成功なんです。
レッスン中よく生徒に次のような話をします。
たとえ話です。
『いま私が君にこの本をあげるよ』 そう言って生徒に渡します。
生徒は私から貰ったのです。
『ありがとう』
そしてしばらくして、、『やっぱり返してもらうわ』
そう言って生徒から私はその本を返してもらいます。
そして、今日のバイオリンのレッスンのお話します。
『今日はココの箇所、どういうふうに弾くか教えたよね?』
そう生徒に聞きます。
そしたら、、
『今日の先生の説明はよくわかりました。レッスンありがとうございました』
そして、、私は生徒に言います。
『その教えたことやっぱり返してくれる?』
生徒の返事は、『頭に入ってしまったことは返す事ができないです』
これが学ぶという事です。
物の貸し借りは出来るのですが、知識や物の考え方などは習得したヒトの記憶がなくならない限り覚えてるし、また返却とかはできませんね。
これは実はものすごく大切な事なんです。
人に物を教わる、教えを乞うということはそういうことです。